散歩をしていたら我の嫁が「腹が減って動けぬ」と言うので、しかたなく懐にあったハッピーターンを手ずから与えてやったのだ。ところがこともあろうに嫁は「暖かいものが欲しい！」などとごたくを並べ、挙げ句の果てに倒れ伏しおったので、槍兵に背負わせて近くのコンビニエンスストアとやらに運び込み、中華まんを買ってやった。ただの中華まんではないぞ。『スペシャル中華まん』だ。我は王だからな。ちょっと奮発してやったのだ。ふと傍らを見ると、潤んだ黒い瞳で槍兵がそれを見ていてな、ついほだされて奴にも買ってやったぞ。『スペシャル肉まん』をな。何しろ我は心の広い王だから。二人がありがたそうに食べる様を見ていたら何だか我も腹が減ってきてな、買ってみたのだ　『黄金まん』をな。何しろ我は王だからな。初めて食したが、雑種の食物にしてはなかなかに旨かったぞ。