
Artist's commentary
氷の幼女王
休日というものは素晴らしいものだ。日常から開放されて僕は自宅で休日を満喫していた。
「「」-!。いいもの貰ったよー!見てよー!」
「ち、チルノちゃん。勝手に入ったら怒られるよー」
近くから声が聞こえる。どうやら僕の休日も潰れそうだ。
「これ見て。ドレスだよ。黒いよ」
とチルノは持ってきた黒いドレスを見せる。それはシンプルながらも生地が光沢を帯びていて素人目でも高級な代物である事が分る。
どうしたんだ?これ?
「スキマの妖怪から貰ったんです。着ない服を処分したいって。」と大ちゃんが答えた。
紫さん太っ腹だ。
「狐の従者が紫様は一度も着ないのに他の服を買いたがるから困るってぼやいてました」
・・・。
「へへ?いいでしょ」
うきうき顔のチルノ。
ドレス貰って喜ぶ感性があったんだなぁ。
折角貰ったんだし着てみたらどうだ?。
「えっ?そうだね。あたいが先に着てもいい?」
うんと大ちゃんはうなずく。
「へへ、楽しみにしててよ」
と軽快な足取りで⑨は奥の襖に消えた。
暫くし、チルノがドレス着けたと言って、襖が開いた。
その瞬間、部屋から異質な空気が流れた。
襖から現れたのは、黒いドレスを着た令嬢だった。
彼女の氷の様に白い肌と漆黒のドレスの対比が現実離れした美しさを醸し出していた。
その逸脱した存在はゆっくりこちらを見て薄く微笑んだ。
その時、電流が走る感覚を覚え、思わず「綺麗だ」と呟いてしまった。
するとその令嬢、チルノは様になっていた顔をドヤ顔に歪め、
「でしょ~。やっぱりあたいったら最強ね」
と笑った。
と同時にどっと緊張が解けた。
「チルノちゃん。すっごく綺麗だったよ。私びっくりしちゃった。ね?「」さん」
ああ、驚いた。
黙っていれば美少女だ。
「いいなぁ。チルノちゃん。」
「えへへ。大ちゃんも着てみる?」
「ううん、いい。あれを見せ付けられたら、着れないよ。」
と、力なさげに呟く大ちゃん。
いやいや大ちゃんも着てみないと分らないぞ。
「あの時「」さん、心からチルノちゃんの事綺麗って言ってました。」
と言って俯いた。チルノに嫉妬している様だ。
そのチルノは「あたいったら綺麗ね」とはしゃいでいた。
あんなんに嫉妬しても仕方ないぞ、大ちゃん。
それ以来よくドレスを着て、「あたい綺麗でしょ?」
とやって来るようになって鬱陶しいわっふるわっふる。