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Artist's commentary
笹の葉
最近,屋敷へ来た
外の世界の医者の道具“救急車”を
助手とウドンゲと洗ってやるのが恒例だ。
外の世界ではこの“車”を洗い,
常に綺麗にしておく文化があるらしい。
時が止まったような風の無い真夏の昼下がり。
車体を一撫でするたびに汗がにじむ。
時折吹く生ぬるい風でも
揺れる笹の葉の音は涼しさを与えてくれる。
「ひゃあ」
ウドンゲが間の抜けた声を上げた。
バシャーン…ベチャ…
水が満杯の桶を持ったまま,つまづいて転んだらしい。
「あらあら,大丈夫?」
「うえぇ~…すみません…」
「さあ,ほら 早く着替えなさい」
泥だらけになったウドンゲを連れて,
屋敷へと戻っていく永琳。
…
ポツンと残されたクラウン。
水滴がしたたり落ち,ボディに乗った水気は乾いてゆく。
少し大きな風が吹き抜けると
竹林全体がザアア…と音をたてた。