「…見て！あんなに大きな波が来るわ！」「大丈夫、ここまでは来ないさ」「あの月、なんだか顔があるようで怖いわ」「気のせいさ。ただの模様さ」「…本当にあの城まで行けば家へ帰れるの…？」「そうさ」「でも、どうやってこの海を渡るの…？」「こうやって僕と手をつないでいれば大丈夫、海の上をスイスイ歩けるのさ」「…何だか前もこんな事があったような気がするわ…」「おい、城まで送ってやるけどな、家へ帰ってしばらくしたら、また僕の所へ遊びに来てくれなくちゃダメだぜ。何度も何度も約束したの、覚えてるよな？」「…え…ええ……ねえ、何だか寒くなって来たわ…」「んん…？君は嘘をついてないか？嘘をついていなければ、寒くなんてならないハズなんだ。僕と手をつないでいるかぎりな」「えっ、嘘なんか…」「約束を破ったらひどいぜ、ひよこになった君の弟はもう二度と戻らないからな。あの月もな」「えっ…！私に弟がいたかしら…あの月は誰なの…？」