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misproportionated ()Artist's commentary
Amalda of Friege
フリージの将軍、アマルダ。
夜。自室にて。
隣には、誰かがいる。おそらくは部下の一人だろう。アマルダの性格上、上司と懇ろになる事はありえなかった。
アマルダは大人だった。それなりに経験を重ね、今に至る。男性を否定はしなかった。男と女がいるから、今自分はこうして生まれて、生きているのだから。
最近のアマルダは、一人では眠れなかった。
若き日のアマルダが忠誠を誓った帝国の姿はもう無く、軍人でいる事にも疑問を感じ始めていた。日々の軍務は、民衆を虐げる行為に他ならず、生真面目なアマルダにとっては苦痛そのものだった。
彼女に忠誠を誓うものは多く、アマルダは男性には不自由しなかった。部下達の堅実な姿を見ていると、若き日の自分を思い出す。
疑問も感じず、全てを賭けられた頃。
アマルダは、自分を信頼してくれる部下達を、拒めなかった。
薄幸の美女といった感じのアマルダに憧れている者は多く、最近は特に、愁いを帯びた溜息交じりの表情が、男達を惹き付けずには入られなかった。
アマルダは、その中の一人を、酔った勢いで自室に連れ込んでしまったのだった。
「……ふう…」
また、溜息。
自分は、何をしているのだろう。酔った勢いとはいえ、こんな破廉恥な行為をしてしまうとは。
自分は、もうだめだと思った。
何度も、軍を辞めようと思った。もう、この軍は自分には向いていない。このままでは、不幸になるだけだ。
最近、自分が女であるという事を思い出しかけていた。男に抱かれ、女としての生き方も悪くないと感じ始めていたのだった。
家庭に入るのも悪くない。夫を持ち、子供を産み、育てる。自分の中では、とうの昔に捨てた考えだった。
「あの人…」
アマルダの脳裏には、いつも穏やかな笑顔で手を差し伸べてくれる、優しい神父の姿が浮かんだ。
その想いが、決して届かないという事も。
2日後、リーフたちが率いる解放軍が、アマルダの守る砦を襲撃。
不利な状況ではなかったが、方翼を担うコノモール将軍が離反。状況は一変した。
勝ち目が無いと悟ったアマルダは部下を逃がし、自分は篭城。
その翌日、自ら火を放ったアマルダは、炎に包まれた砦の中で自害した。