
Artist's commentary
偽表紙
「アリスはちょっと私に冷たいんじゃないか」
宴席で魔理沙が変な事を言い出した。
酒の入った魔理沙はよく変なことを言うが、今日は一段と変なことを言い出した。
「世のお前は私を愛するあまりストーカー行為に走るのもざらにいるレベルだっていうのに。
私のおまえはあれだ、どうにも私への愛が足りてないぜ」
そう言って魔理沙は口をとがらせるが、私にストーカーの趣味はない。あとお前の私でもない。
魔理沙が何の電波を受信したのかは知らないが、どこぞの世の私が頑張っているなら、その私達を信じてそっち方面は任せておけばいいと思う。
魔理沙のために毎日出かけるのなんて考えるだに面倒くさい。
「もっとこう、アリスから私へのアプローチがあっていいんじゃないか?ツンデレ発揮して頼んでも
ないのに家に料理しに来たり、私の人形作ってみたり…マリアリってそういうもんじゃないのか!?」
絡み酒だ。魔理沙にしては珍しい。
嫌なことでもあってくさくさしてるなら愚痴くらい聞いてあげるのになあと思いつつ、私は段々面倒くさくなってきた。
「わかった、わかったわ魔理沙」
「わかってくれたかアリス!」
「そこまで言うなら、明日から私は魔理沙をストーキングすることにするわ」
「へっ?」
魔理沙が素っ頓狂な声を上げた。
視線をそらさず、真剣な声を出して続ける。
「スケジュールも調べつくして、あんたが満足するまできっちり追いかけまわしてあげる」
「え…え?」
「いいこと?私が追いかけるんだから、あんたから私の家に来ちゃだめだからね。ストーカーらしく
ごみも漁るからきちんと分別して出すのよ、手伝わないけど。多少物も失敬するかもしれないから
家の掃除もちゃんとしてね、手伝わないけど。陰から見つめなくちゃならないから用がない限り話しかけないで。
私の視界に入らないで。半径10メートル以内に近づかないでいてくれるとやりやすいわ」
魔理沙は涙目で走り去った。
「お前なんか深夜にクロックタワーやって一人でトイレに行けなくなっちまええ!」とか何とかご丁寧に捨て台詞まで残して。
先週のあんたじゃないんだから。
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という、エイプリルフールに使った偽同人誌絵の蔵出し。