
Artist's commentary
動かないでシャルロット
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ……!!
新しい水着に浮かれまくっていた私は、さっそくマスターにご披露しようと思い、ルンルン気分で自室で着替えをしていた。
すると、なんとマスターがノックもせずに、血相を変えてやってくるではありませんか!
トクントクントクン。
私はもう、超期待致しました!!
カルデアでも特異点でも、マスターはモテモテ。
ライバルは年々数を増して、しかも魅力的な方々が多すぎる……っ!
一念発起して水着を新調したものの、なんと、あのアナスタシアやカーマさんまで水着になっていると聞くではありませんか!
「私? マスターとのベットインなら、とっくに済ませたわよ?
あなたは………あっ(察し)。そうよね。あなたの性格じゃ、子供扱いが精々よね。あなたの方が、彼や私より年上なのにね?」
そう言って、一時は本気で殺し合いにもなったあのアナスタシアがです!
今では仲直りしていますが、彼女のことですから、いざとなったら平気で裏切り、抜け駆けをする筈です!だって、私ならそうします!
ともあれ私の一番の課題は、私が彼女と対等になることでしょう。
つまりはマスターと……マスターと……っ///
くうぅ……考えただけでも勇気のいる行為です。
そもそも男性に女性から迫るなど、私の時代では考えられざる行為。
マスターにはしたない娘と思われる。
そんなことになるぐらいなら、死んだ方がマシです。
「(———でも、そんな心配は、なかった)」
迫る彼を見つめる。
目が真剣で、ちょっと怖かった。
私が頬がにやけるのを必死で堪え、
逃げ出したくなる恥ずかしさを必死で堪え、
叫び出したくなるのを必死で堪え、
お淑やかに、畏まって見せる。
さぁ、どうぞ来てください。
ここにいるのは、無垢で純真で、無知な乙女です。
私はそっと目を閉じ、彼のますがままに……
…………………
「爆発したら、大変だから……!!」
「へっ………?」
トクントクントクン。
ずっと心音だと思っていた音は、耳元まで迫っていた時計型の爆弾……
『チクタクくん』という、カルデア公認のゆるキャラだったのです。
「メフィーがいろいろあってばら撒いちゃってね……回収して回ってるんだよ。
シャルロットはアサシンだもんね。爆破したら大ダメージだったよ……」
マスターは慎重にチクタクくんを回収し、ほっと一息着くと、ポカンとしている私をじっと見つめ、頬を染められます。
「あ、着替え中だったんだ! ごめんねシャルロット!!」
バタバタと去っていく真摯なマスター。
走り去る背も素敵です。
ですが———ああ……どうか、顧みてください。
残されるのは、なんとも滑稽な女ひとり。
「ちくしょう……」
お淑やかタイム終了。
心からの本音を暴露する。
口に出した言葉は汚かったかもしれない。
でも、今はとにかく、酔った酒場のギャングみたいに、地団駄を踏みたかった。
今に見てろよ藤丸立香……!!
お姉さんを甘く見たこと、この夏、後悔させてやる……!!
……………
夏(9月)に描いていたシャルロットを、今頃になって出します。
絵を仕事に出来たら楽なのですが、そうもいかないとなかなか上手くいきません(言い訳)。
でも絵の練習は続けていますので、これからもゆっくりゆっくりFGOのファンアートを出していくつもりです。
気が向いた時にでもご覧ください……