
Artist's commentary
コ コ ロ
東方陰陽鉄【http://www.nicovideo.jp/mylist/9829867】(3章以降)からの妄想絵。
一応連作予定の1枚目。
3章終了しばらくして、マトンを連れてアリスの家に向かってる・・・というイメージ。
オートマトンは自律行動に加えて会話も出来る、にとりにとっては垂涎のメカ。
ただそれは、ヴァナ・ディールでのこと。
幻想郷において、しかもヴァナ人でもない、にとりが稼動させることが出来るのか?
動かす事は出来ても、そこに”ココロ”は存在するのか?
・・・・と、そんな事を考えつつ描いてみました。
タイトルはこちらの動画から→【http://www.nicovideo.jp/watch/sm2817697】
ヴァナ・ディールと幻想郷に生きる、全てのからくり士とオートマトンに。
以下、ちょっとした小話をつけてみました。苦手な方はカカッっとパスを。
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幻想郷の季節がひとつ、移ろうとしている。
強く弱く、木々を巡る北風の音は寒々しいが、
陽光の下、揺れる梢。
そこには緑の芽吹きを見つける事も出来るだろう。
妖怪の山の麓、渓流沿いの大きな岩の上。
そこは河童の河城にとりお気に入りの昼寝スポットであった。
「ひゅぃ、、、さ、寒ぅっ。」
山を越えて吹き下ろす風に、
束の間の眠りは、あっさりと破られる。
昼寝の季節には、ちょっとばかり早かったかもしれない。
「まずい、今日はアリスの家に行くんだった。」
寝過ごさなくて良かったと思えば、安眠妨害も結果オーライである。
最近、魔法の森のアリス・マーガトロイドと過ごす事が多くなった。
グラットン異変時に破壊されたヴァナ・ディールの自動人形”オートマトン”を
共同で修復しているからだ。
「じゃあ、行こうか、相棒。」
『カシャン』
軽い金属音と共に、一体のオートマトン”コバルトエアリーズ”が立ち上がった。
明るい青色の円錐形のボディを折れそうなほど華奢な手足が支え、
その上に寺院の尖塔を思わせる象牙色の頭部を頂く。
ただ、そこに顔は無く、日差しの下でも常に闇が落ちているのが印象的だ。
全身に施された金色の装飾が、中天にかかる冬の陽光に煌めいている。
十字状の指示棒『ストリンガー』をマスターと呼ばれる操者が使う事で、オートマトンは動く。
しかしストリンガーが無くとも、オートマトンは自ら動き・思考し・言葉を話す。
現状の修復では、その段階にはまるで達していない。
内部機構はアリスの人形の基本骨格をベースに私が手を加えたに過ぎず、ガワだけの存在だ。
眼も鼻も口もない、真っ暗な顔は最初見た時驚き、少し怖かった。
それでも外観の修理が進み、とりあえず動けるようになると気持ちも変わる。
今の所それは、まさに”機械的”な動作ではあったが、トコトコと自分の後ろを付かず離れずついてくる様を見ると、
ふいに胸が熱くなる。
なんか、無性に抱き締めたくなったり。
その時、少しだけ作者の想いに触れた気がした。
あえて、そう、わざと顔を作らなかったんじゃないか、、と。
私も、そしてアリスも相談することなく決めている。
元の姿を取り戻すまでは、このオートマトンに名前はつけないでおこう。
もし、彼(彼女?)が名前を覚えていて、自分で喋れた時に、きっと戸惑うだろうから。