女商人は買い付けに訪れたその店で、ふと蝶々の指輪を手に取った。
その美しい黄緑の羽は、かつて彼女を友と呼んだ物好きなお姫様を思い出させる。
生い立ちも在り方も自分と同じに見えたのに、ある一点が決定的に違った彼女。この世界でただひとり、自分を打ち負かした、あの誇り高い最後の羽ばたきを。
Loading...
There are no comments.