Resized to 47% of original (view original)

Artist's commentary
桜の天
水面にはびっしりと白い花弁が敷かれて、まるでもう一枚地面をひいたように見えた。この魔道の樹を持ち込んだ者は、雨が降ればここが浅い川になることを知らなかったのだろう。以前通った時には、ここには小さな青い花が、雨が呼んだ水底で一面咲き渡っていた。白い桜を天にして、今も咲いているだろう。光る花弁は絶え間なく振り落ちて、何故か、何処となく彼を不快にさせた。濡れるのを嫌い、裾を手繰って横に掛けても、賢い馬は旅人の思う通りにゆっくりと水を割って歩いた。娘が花びらに撒かれてはしゃぎ跳ねている。風も無いのに落ち続ける花弁が鬣に積もるのを払ってやりながら、溺れて死ぬぞ、と呟いた。 ■ミバル【pixiv #16294438 »】クキリ【pixiv #16294479 »】 ■一刻桜花の陣【pixiv #17097983 »】