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「この私を倒せるとでも思ったのか？」
白髪のエルフは、足元に転がる勇者を見下ろしながら、冷たく言った。
月光が髪に淡い輝きを宿し、漆黒の鎧は冷たい光を帯びている。
勇者はピクリとも動かない…
体には無数の傷が刻まれ、流れる血は止まることが無かった。
「ふん……案外あっけなかったな」
ため息をつきながら、倒れた勇者を踏みつける。
「死ぬには早かろう」
彼女の細い指が宙を舞い、暗黒の魔法陣が地に刻まれる。
そこから立ち昇る禍々しい光が、勇者の体を包み込んだ。
「貴様の魂は……私の魔力に耐えられるか？」
裂けた皮膚がみるみる塞がっていく。
骨は繋がり、溢れ出た血液が元に戻っていく。
「さあ、死にたくなければ抗ってみせろ」