
Artist's commentary
橋の上の嫉妬姫
宴会も終盤に差し掛かった頃、部屋の隅で呑んでいたはずの彼女の姿が消えていた。外の風を浴びにでも行ったのだろうか。窓の外を見てみれば白い雪がちらついている。放っておいても妖怪である彼女が風邪を引くことはないだろう。それでも私は放っておく事はできず、ふと目に付いた、彼女の席に残された物を手に急いで会場を後にした。・・・・・・彼女はいつもの場所にいた。地上と旧地獄街をつなぐ橋の上。彼女の居場所だ。橋の欄干に手を掛け遠く旧地獄街を眺める。と、こちらに気付き、酒気で上気した視線をこちらへ流す。・・・っと、見惚れていたところで我に帰り、やるべきことを思い出す。手にした物を確かめるように握り直し、私は彼女に声をかけた―――――――――――――――『パルスィさんスカートはき忘れてますよ』